タイガーナンパーカット

ナンパ、出会い、恋愛、性的嗜好。menonsoup@gmail.com

ヒマだから「俺」と昔の出会い喫茶の話でもするか

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 あれは20代半ば、一介のAFCに過ぎなかった「俺」は純粋に彼女が欲しかった。以前の経歴は割愛するが、それまでの俺の年収は、同年代と比べると、かなり下回っていた。ようやく休日にデートをしたいなと思うほど、生活に余裕ができたので活動を開始することにした。いわゆる「恋活」というやつだ。ちょうど同じく、さる大学時代の友人も似た境遇だったので、我々は持てるリソースを使い、毎週末、合コンを敢行した。この頃の手帳を読み返してみたところ、一年で33回やっていたことを確認したが、これが身を結ぶのは、まだまだ時間がかかることだった。

 

 同時に、定額制の出会い系にも登録した。写メを載せていて、ちょっとでも可愛いなと思った子には片っ端からメールを送った。あまりに反応がないので「出会い系必勝サイト」のようなものを見たところ、数パターンの定型文を用意しておき、それらを相手のパーソナリティーに合わせて、コピー&ペーストで組み合わせた、メール文章を絨毯爆撃する方法が書かれてあり、素直にそれを真似した。

 メールを送る。/メールを送る。/メールを送る。

 だいたい一度につき、10人程度。誤ってHN「あかね」に送る内容を「さなえ」に送ってしまい「あかねって誰ですか!?失礼ですね!!」と罵倒の返信を受け取るような事故を、何度か起こしながら何百通と送った。結果、何人かに会うことはできた。しかし、あまりに非効率な方法であることに疲れて、直に辞めてしまった。今にして思えば、単純にネトナンがへ夕だったんだな。

 

 とにかく暗中模索の時期だった気がする。合コンとネトナンを繰り返しながら、可愛い子はつれない、という現実をジワジワと学習していった。ストリートの存在は頭の片隅にはあったものの、やろうとは思わなかった。俺はチャラ男でもなく、単なる文学おたくだったので、知り合ったばかりの女の子とセックスしたいというより、付き合いたかったし、デートがしたかった。ある晴れた日、新宿御苑の芝生に寝っ転がっては、近くのフレッシュネスバーガーで買ってきたオニオンリングを笑顔でつまむような、そんな時間が欲しかった。だから多くのナンパブログで書かれていた「やってやったぜ」的な内容は、どうもピンとこなかった。

 

 出会いたかった。

 

 そういう願望があったから、検索サービスで「出会い」と打ち、結果に現れた「出会い喫茶」を観た時、クリックしたのは自分にとって、自然のことと言えた。ここに行けば、自分と同じように出会いに飢えている女性がいる! 愚かな男と思われるやもしれないが、はじめて店のHPのシステムを発見した時、俺は素直に砂漠のオアシスのような可能性を液晶モニターの向こう側に感じてしまった。そして店の詳細説明のページを何度も読んだ。繰り返し。繰り返し。

 

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 そして、ある夏の土曜、俺は上野にいた。なぜ上野だったかは今では思い出せない。たぶん渋谷や新宿といった行き馴れた場所で、そういう店に行くのは気恥ずかしくて、ふだん訪れない場所を選んだという思考回路な気がする。

 しかし店に入るなり、入会金5000円十入場料5000円を払ったにも関わらず、30分もせずに俺は店を出ることになった。

 なぜって? そこには仕切りの向こうでヒマそうにしている女の子が確かにいたが、同時に、女の子を値踏みするような目で観察する中年のオッサンどもが【数十人】といたからだ。その光景に思わず、自分は面食らってしまった。男性がいることは多少、想像もしていたが、それは自分と同じく、出会いに飢えている同年代の若い男性ばかりと思っていたのだ。ところが現実は、若いおねーちゃんとイチャイチャしたい中年男性であふれかえっていた。その男性の多さ、仕切り板周辺にむらがり、つまらなそうにネイルをする女性数人をねめつける視線が、なんとも醜悪だった。それは、まるで養豚場の餌の時間、管理者の持つバケツからこぼれる餌にむらがる豚の衆のようにも見えた。さらには「自分もその一人である」という事実にいたたまれず、店を出てしまったのだった。まったく1万円も払って何もしないなんて馬鹿みたいだろう? しかし、それが当時の俺のどうしようもない限界だった。

 

 それでも2週間~1か月ほど経つと、また性懲りもなく、出会い喫茶に行こうと思った。そうだ。オッサンどもに気圧されている場合ではない。目的は女の子だったはずだ。どんな子がいるのか、話す前から逃げ帰っている場合ではない。話さなければ何も始まらないんだ。

 

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 次は新宿にした。別の店だったので、また入会金を払った。続いて初回アンケートにも解答。「女の子へのお心づけを知っていますか? ①3000円、②5000円、③10000円」……え?女の子にもお金を払うのか!? 狼狽した。

 迷った挙句、3000円と5000円に○をつけた。

 今度の店は、上野のときより男の客は少なかった。数人といったところ。もちろん皆オッサンだった。なぜ若い男性がいないのか? いちおう20代である自分が、こんな場所にいる。他の20代は合コンなり友達の紹介なり「ふつうの出会い方」で彼女を作っているのだろうか。自分はブサイクではない程度の容姿はあるはずだが、こういう場所に純粋な「出会い」を求めてしまっているのは、俺は男として余程なにか欠陥があるのだろうか、と当時、漠然とした不安を感じたのは覚えている。

 

 薄暗い店内のなか、マジックミラー越しに「THE 歌舞伎町」って感じのギャルばかりである様子を見て(やはり自分の求めている世界ではないような気がする)と思いながら、パーラメントを吸った。隣にいた店員の兄ちゃんが、手を背中に回しながら「さあさあ話しかけたい女の子を選んでくださいよ!」と何度も煽ってきたので、押し出されるように、ひとりの女の子を選んだ。黒髪の普通の子だった。少なくとも、そう見えた。

 女の子を指名した時の、兄ちゃんの、あの満面の笑み。

 そのまま「トークルーム」と呼ばれる、狭い部屋のなか、丸椅子がふたつだけしかない場所に通された。座りながら待っていると、1分もしないうちに女の子がやってきた。「10分間、話すことが出来ますから」と店員は言い、壁に備え付けられたキッチンタイマーを押した。デジタル表記の数字が動いた。「こんにちは」「こんにちは」で返して、世間話をした。この10分間の卜-クで、うまくいけば連れ出せて、デートができるらしい。しかし、すごく可愛い子というわけでもなかったから、そういう誘いを一切しないまま、タイマーが鳴った。「なにか彼女はダメだったんですか?」と出るなり、店員に訊かれたが「もうすこし色々な子と話してみたい」と答えると、あっさり引いた。

 ナンパと同じように一度、はずみがつくと「次」にいくのは楽だった。たてつづけにロングヘアーの子を指名した。「すごく細い」と「細い」の間の体型。マジックミラーごしに見た様子は、すごくつまらなそうだったのに、意外にも愛想が良く「この後も話してみたい」と切り出してみると「楽しいお話しましょ」「♪」マークつきで言われ、この子を連れ出すことにした。店を出て、どこで話すか迷った挙句、近くにある大きなマクドナルドに向かうことになった。ほら、歌舞伎町の、今じゃ丸亀製麺になっているところさ。

 30分ほどの些細なトーク。自分の仕事と恋愛の経歴を一通り話して、彼女の話も聞いて、ごく普通の世間話をしているうちに、だんだん、この子の「愛想が良すぎる」ことが不審に思えてきた。なんだかこの子、オーバーアクションすぎやしないか? なにか変だぞ。俺の会話が、そんなに面白いわけがないじゃないか。

「彼氏はいないの?」

「ううん。すぐふられちゃうの。どうしてかなあ」

 総じて1時間半ほど話して、彼女に3000円、払った。別れ際、電話番号を聞いたが、するりとかわされた。バイバイと言った後で、なんとなくわかったのは彼女にとって、ここは単なるヒマ潰しの小遣い稼ぎだったんだろうな、ということだった。こういう子たちのことを、お小遣い目的の「茶飯」とネットで呼ばれているのを知ったのは、それから何年も経ってからだ。

 

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 それから数か月間、俺は出会い喫茶には行かなかった。店に金を払って、女の子にも金を払って、ただ喋るだけだなんて、馬鹿みたいだなと思ったからだ。仮に純粋な子がいるとしても「茶飯」たちの中から、そういう子と繋がる可能性に賭けるには投資が大きすぎると、ぼんやりと考えていた。

 

 そうして冬になり、人生初のボーナスをもらった。多くの新人サラリーマンがそうであるように、いきなりの大金をもらった俺は途方にくれた。学生時代、欲しかったパソコンやゲームといったモノたちは、サラリーマンになって半年程度のうちに全部、手に入れていたから、あらためて欲しいものなんて特になかった。とはいえ何もせずに、そのまま貯金するのはわびしかった。

 選択肢のひとつとして浮かんだ風俗は、すぐに消した。会社に勤め始めて、興味本位で、だいたいの一般的な風俗を経験してみたが、どれも俺は好きじゃないということがわかった。それぞれ細かい理由はあるが、要するに、女の人の肌に触れても「お金を使わないと、もう会えない」と思うと気持ちがシャットダウンしてしまい、楽しめなかった。つくづく俺は「関係が続く異性」が欲しかったのだろう。

 

 結局、俺はまた出会い喫茶に行くことにした。あそこならワンチャン素人に会えると思ったし、自分が連れて行く場所を指定すれば、酒を飲まなくてもよかった。そういう「素人感」というのが出会い喫茶の魅力といえた。それも今では大分、変わってしまったと思うのだが、それについては後で述べる。

 そして、もうひとつの理由として、会社帰りに、たまたまトークし放題、再入場も可、連れ出し料も含めて、7000円という安い店を見かけていた。そこならば喫茶店で1時間半ほど話すだけなら、女の子にお布施をしても、1万円ちょっとで済む。場合によってはキャバクラより安いし、自分で女の子の指名もできる。「素人」にこだわったのは、つまり彼女候補たる人が欲しかったんだよ。正直に言えばね。

 

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 ある冬の火曜(なぜか覚えている)、件の出会い喫茶に行った。今までの店より、だいぶ小さいところで、マジックミラーではなく、単なる男性席、女性席で仕切られていただけだった。確か18時ぐらいだったと思うが、女の子の数は4、5人ほど。男も同じぐらい居たが、誰もが様子見で、声をかけようとはしていなかった。ある程度の常連となると当然、女の子側の常連もわかるようになる。女の子の常連とは、つまり「茶飯」である可能性も高いってことだ。

 

 もちろん、初めてである俺には、どの女の子が茶飯なのか見当もつかない。だから、スレていなさそうな子を出来る限り、見分けようとした。1時間、煙草と生茶を片手に張り付いた。トークセールをする店員もいないのもありがたかった。そして、ひとりの子を指名してみることにした。純朴そうなのも理由だが、鏡を前にメイクを整える時の横顔が可愛かった。

 そして毎度おなじく、トークルームで待ち、その子と話した。近くで見ると、意外と腕が太かったが、笑顔に愛嬌があった。「携帯の充電をするつもりで寄っただけだったし、私は他の子と比べて、かわいくないから、まさか声をかけられると思っていなかった。ありがとう」と言われた。それから「おじさんじゃなくて嬉しい」とも。

 一緒に話していると、自然と笑顔になれたので、連れ出しを打診したところ、当然のようにOKをもらった。

 あまり迷わず、近くのカラオケ兼居酒屋のようなところに入った。適当に選んだ店だったので狙っていなかったが、完全個室だった。3時間ぐらい色々な話をしたが、受け答えに天然が入りつつ、ノリもよくて、面白い子だった。

 しかし話していても、一向に「じゃあ帰るね」という気配もなく、そのうち23時になり(まさか「帰る」って言わないんじゃないのか?)という思いが、いよいよ確信めいたものになり、俺は心の隅で想定していなかったベッドインを意識すると、正直に言って、ビビッた。(おいおい今日あったばかりなのに「できちゃう」のかよ)と思うと、恥ずかしいことに身体が震えた。ギラも知らなかった頃の話だ。

 そして0時を過ぎた頃、俺はヌケヌケと「終電がなくなった」と発言したところ「私もー!」と言われた。

 ちなみに言っておくと、彼女にお金は一銭も渡してない。

 

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 即れてしまったことで、俺の出会い喫茶熱が、その日を境に加速した。週末の土日にヒマな時間があれば、その店に顔を出した。結論から言うと、5回中4回はセックスすることができた。上にも書いたような自分が、決して口説くのがうまかったわけではないのは書くまでもない。ただ「若さ」というものが他の客と比べて、有利だった点は大いにあると思う。

 相手の子たちは、今にして思うと即系ってやつだったのかな。どうなんだろ。「別にエッチとかするつもりじゃなかったけど、まあ」みたいなやりとりが多かったように思う。もちろん「え!?なんでするの?」って反応もあったけど「まあまあヒマなんでしょ? 楽しい思いをしようよ」とゲス台詞をひとつ叩けば、やっぱり「まあいいか」と返ってきた。ついでに「小遣い」も払わなかったしね。なにこれ? やっぱり天国じゃん。

 

 とはいえ、つまずきは不意に訪れた。ルーティーンよろしく、いつものカラオケ兼居酒屋に行った。普段、カラオケは全然せず、もっぱら個室居酒屋がわりに使っていたのだが、その日、連れ出した子はカラオケをしたがった。多分、会話をしたくなかったのだろう。俺が4曲を歌うと、彼女が1曲といったペース。なにも知らずに俺は歌い、女の子は「うまいうまい」と手を叩いた。どこか接待の気配がした。

 2時間ぐらいして、さあ帰ろうかという流れになり、彼女が「お小遣い下さい」と言い出した。「いくら?」と訊いてみると「5000円」と答える。たかがカラオケに随分ボるな、と思い「キスしてくれたらいいよ」と軽口を叩いたところ「イヤだ~もう!」とブリッ子極まりない反応が返ってきた。

 たまには仕方がないかと払うと、彼女は次のセリフも続けた。「やっぱり、もう5000円もらえませんか?」

 なんだって? どうして?

「だって前におじさんとカラオケに行ったとき、それぐらい貰えたもん」

 そのとき、俺の顔を覗き込むような卑屈な表情にイラついた。悪いね、俺はおじさんじゃないし、本当は君の相場に付き合う義理もないんだよね、と言った。彼女の方は笑顔こそ維持していたが、明らかに残念がっていた。「ケチなやつだな」ぐらいは思われたかもしれない。今だったら、その「相場」も普通だと知ってるけどな。だが俺が意見を変えないことを知ると引いた。お互い表面上の笑顔とは裏腹に、多少ギクシャクした空気が流れた。

 

 そして我々は店の前で解散した。……と、見せかけて、こっそり俺は彼女の後をつけてみることにした。「帰ります」と言ったくせに、駅とは逆方向に歩いていったので、この後、どこに向かうのか知りたかったのだ。疑問はあっさり氷解した。彼女は元の出会い喫茶に戻っていった。もう一稼ぎするつもりなのだろう。つくづく自分が罠にかかった魚でしかないことを自覚した。

 しかし俺だって、彼女のことを見下せない、単なるヤリ目の男じゃないかと思った途端、自分もまた、かつて上野の店で仕切り板の向こうに群がっていた豚のごときオッサンたちと同じ存在と、いつしか、そう変わらないものになっていたことに気づき、急激に絶望した。道のど真ん中で。

 最初は彼女が欲しくて、そのための出会いの手段だと考えていたはずだったのに、たまたま上手くいってしまったセックスに味をしめ、それが目的で出会い喫茶に行くようになってしまった。どうしてこうなった? お金が目的の女の子と、セックスが目的の俺。なにが違うって言うんだ? なにが「キスしてくれたらいいよ」だ。俺なんて死ねばいい。

 そんなわけで、また出会い喫茶には行かなくなった。

 

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 そこから先、何か月か経った頃だろうか、冒頭に登場した合コンの盟友から「おまえ出会い喫茶にハマってたよな。なんかニュースになってたぞ」と言われた。

 ハマってるっていうか昔、何回か行っただけだよ、と否定した後で、なんのニュース? と質問すると「なんか援交してる子が多くて、警察が摘発するかどうかって話さ」と返ってきた。もう興味は、すっかりなくなっていたが、あの「お小遣い」の行く先がエスカレートすれば、そうなるのは容易に想像がついた。

 いや、違う。

 正確には「そういう子」がいるだろう、ということも察していた。ただ俺は、俺以外に出会い喫茶に行ってるやつも知らなかったし、2 c hで熱心に情報を集めていたわけでもなかったから、本当にいるかどうかも解らなかった。というより「出会い」という自分の目的とは違っていたから「そういう子」には、とんと興味がなかった。

 

 最後に行ったのは、さらに数か月経った「今はどうなったんだろうな」という同窓会気分が、きっかけだった。もうひとつ告げるなら、長年の合コン修業が実って、念願の彼女が出来つつあった。しかし長いこと居なかったものだから(俺、この子で決めちゃって本当に良いのかなぁ)というマリッジ・ブルーにも似た思いがあり、そういう気持ちで、ちょっと他のエロいことできそうな子と話してみたくなった。

 まだ付き合っていないんだから浮気ではない、という自分へのエクスキューズをしつつね。

 

 しかし結局のところ、友人がニュースで観たと言った通り、5人ほどトークルームで話してみたが、すぐ「私と寝るなら2万円ね」と平然と言う子であふれかえっており、これじゃ単なるセミプロ風俗嬢の集まりじゃないか、と嘆息して出てしまった。店の外で、変わったんだな、と思った。かつて俺が魅力だと思っていた「素人感」というのがなくなってしまったような気がした。

 長い間、持っていた会員証がわりのショップカードは、その日の夜、シュレッダーに挿入した。

 そして数年後、たまたま店の前を通りがかったとき、いつの間にか潰れていたことを知った。

 

 

 これは2005~2006年ごろの話だ。「闇金ウシジマくん」の「出会いカフェくん」編が収められた13巻が出版されたのは2008年だから、この経験談のほうが若干ではあるが、前になるはずだ。

 作中では、女の子と客の間の割り切りが行われているように描かれているし、おそらく当時もあったと思うのだが、それ以前は、そんな子たちばかりではなかった。「あの頃」は、少々のセミプロに紛れて、本当に「なんとなくヒマで来ちゃった」という感じの普通の子もいた。簡単に言うと「ナンパ待ち」みたいな女の子がいたってこと。それは今より、たぶん多かったように思う。

 そして俺の言う「普通の女の子」っていうのはセックスをカードに金交渉をしないって子のことだし、後日、店以外の場所で会ってボーリングで遊べるような友達になれる子のことだ。もっとも俺程度の訪問レベルで歴史を語れるほどじゃないから反論は大歓迎だ。まして「正史」になりえるとは、これっぽっちも思っちゃいない。単なる個人的な感想文に過ぎない。

 ただ、ああいう子たちは今、どこに行ってしまったんだろうな、とたまに述懐したりする。やっぱり出会い系サイトとかに流れてしまったのだろうか。

 

 そう。いろいろ変わっていくんだよな。

 

 僕だって、その頃は、この先ありふれた恋愛をして生きていくんだろうなって、そんなつもりだったのに、あれから数年経って、まさか結婚もせずに、遊びを続けていくなんて思いもしなかったよ。