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タイガーナンパーカット

ナンパ、出会い、恋愛、性的嗜好。menonsoup@gmail.com

六本木クラブナンパに挑戦してみる

彼女について

最初のキスには魔力がある。

二度目はずっとしたくなる。

三度目はもう感激がない。

 

それからは女の服を脱がせるだけだ。

Raymond Chandler「The Long Goodbye」

 

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 7割のYシャツ姿と、3割のスーツ姿のサラリーマンがひしめくオフィスには、各所で仕事に関する話し声と共に、プリンターの無機質な動作音が響いていた。

 この日、menopenは眠気を噛み殺しながら仕事の資料まとめに苦心していた。キーをタイプする力は、いつもより弱く、プリンターに出力した用紙を取りにいく為に椅子から立ち上がる行為すら気だるさを感じていた。

 昨夜、既セクから電話があった。「もうあなたとは会わないつもり」突然の通達だった。menopenにとっては、よくある電話のはずだった。しかし彼女は他の女とは違った。

 オンリーワン中毒。

 ばかげた話だと思い込んでいた。しかし口から出た言葉は、いつもと真逆の、引き留めるものばかりだった。朝方まで激しい口論は続き、ふたりとも疲れ果てるように電話を切った。平行線の討論。最後まで結論は出なかった。

 menopenは疲労と眠気と、彼女の執着にとりつかれていた。ふつうの男であれば、また今夜も、彼女に電話をかけ、深夜まで語り合いを続けるのだろう。しかし、menopenはPUAだった。女で受けた惜りは女で返す。menopenは、以前から抱えていた興味を実行に移すことにした。

 

 六本木のクラブ。

 

 そこでは、男と女が夜から朝まで踊り。語り、時に性をぶつけあうの出会いの場だという。事実、menopenのスマホから、ツイッタ一を開けば、クラブでのお持ち帰り、そして即報告が毎週末、出力されていた。未知の世界だった。そんなことが本当にありえるのだろうか。

 

 menopenはクラブ経験がなかった。いや、正確に言うと友人の付き添い、あるいは、イベントの手伝いで、音箱のスタッフを務めたことはあった。しかし、クラブナンパの経験は一切ない。身体は疲れていた。おまけにmenopenには、クラブナンパに必須といわれるウィングがいなかった。ウィングの不在がmenopenをクラナンから遠ざけていた。不安はあった。

 しかし金曜の夜、何故か今日しかない、と直感した。ストナンで鍛えた自分のPUAのテクニックがクラブでどこまで通用するのか知りたかった。menopenは、スマホからLINEを起動させ、仲間に連絡した。

 

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  台風一過も過ぎ、街の気温は、涼しさから寒さに変わりつつあった。menopenは六本木駅の前で仮のウィングを待っていた。

 

「久しぶりです。先輩」

 

 呼ばれた。menopenが選んだ今夜のパートナー、SHINGOがいた。背が低いが、元スポーツマンという経歴を活かして身体のキレの良さとテンションの高さ、それに加えて抜群のトークカがある。なによりmenopenとギャラがかぶらないのがいい。むしろ勝俣州和とキャラがかぶってるのがいい。誘いのメッセージを送った時「俺もクラブ一度は行ってみたかったんですよ」という返信まで3分もかからなかった。

 

「今夜は、どこのクラブにするんですか?」

「ああ、museにしようと思う」

 

 muse。西麻布にあるナンパ箱だ。ツイッターで見かけることが多く、偶然見たクラブ紹介サイトでも「初心者向き亅とあったことから、はじめてクラブに行くならmuseだ、とmenopenは以前から決めていた。

 

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 museに客はいなかった。見たところ、10~15人だろうか。かろうじてソファー席には、とりあえず話をし続ける女の子数人の姿が見えただけだ。

 おかしい、金曜なのにどういうことだ。ここが本当に六本木屈指のナンパ箱なのか。いや待て、あわてるな。menopenは、さも常連かのようにカウンターに腕を乗せ、カクテルを注文した。意外にもアルコールが強かった。

 飲みながら、久々に会うSHINGOと近況報告がてら話をする。なんと1か月も立たずに、SHINGOは今の彼女と別れることを決意していた。理由は性の不一致だった。

「先輩が『抱かないと女はわからない』って言ってたじゃないですか。そういうことです。俺もわかりました!もっと抱かないといけないって」

 menopenの言葉は、たいしたことではなかった。それどころかmenopenが尊敬するブログ「タイガーナンバーカット」さんの記事の受け売りだった。しかしSHINGOは、受け売りで遊び人の道を歩みつつあった。

 飲んだ後、迷路のようなmuseを探検し、構造を理解した。なるほど、確かに死角を使えば、口説く姿を、別の女に見られにくい。まさにナンパ向きだと思った。

 そうこうしているうちに人が続々と現れた。そうか。この時間から込み始めるのか。続々と女性も現れてくる姿を見て、menopenは興奮した。SHINGOの肩を叩いた。

 

「さあ行こう。ゲームのはじまりだ亅

 

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 まず混雑したのはカウンターだった。多くの男女が話し始め、一気に喧騒がクラブを支配した。嘘だろ。さっきまで知り合いでもなかった同士が? これがクラブだった。先に来たはずの我々は出遅れた。menopenは焦った。声をかけねば。しかし、オープナーを用意していなかった。準備不足を恥じた。

 大丈夫だ。自分にはイベント会場とストリートで築いた実績がある。混雑を利用することにした。押されたふりをして、カウンターで盛り上がっていた女子に軽くぶつかった。

「あ、すみません」

「え、いや亅

 Bランク。

「あれ? 顔あかくないですか?」

「そ、そうですかね?」

 女の子が焦る。

「そうですよ。見た目こんなマジメそうな女の子が、こんな場所で飲むなんて何かあったに決まってる。でしょ?」

「え、まあ色々と」

「さてはイヤなことあったんでしょう? 彼氏にふられたか、試験におちたか、仕事で失敗したか」

「あたりです。試験に落ちたんです」

 当てたわけではなかった。耳ざとく聞いていただけだ。

「そうなんだ。難しいやつ?」

「警察の試験です」

「警視庁?」

「はい」

「僕、受かったことあるよ。Ⅱ種」

「本当ですか!?」

 女の子がオープンした。いけると確信した。

 なごんだ女の子から番ゲ。そしてバイバイ。一気にリズムがついた。隣のSHINGOが言った。

「びっくりしました。自然でしたね」

「いや、時間がかかりすぎた。それにカタかったから、次には続かないだろう。もっと声をかけないと」

 そう。とりあえずの番ゲ。続かない可能性のほうが高いだろう。力不足を感じた。しかし場に気押されていた精神はフロントに入った。それだけでも収穫だ。

 

 その後、30分ほどサ一ジング。収穫はなかった。

 

 いや。明らかにクラブ慣れしてそうな女は何人もいた。menopenは迷った。もし男にチヤホヤされたいだけの小悪魔であれば、最後に持ち帰ろうとしても、はぐらかされ、逃げられてしまうのではないか。それを判断する基準が、今のmenopenには存在しなかった。だからこそ経験を積むべきだと思う反面、敗北への恐れが、menopenをギャルへの特攻から逃げさせていた。

 SHINGOのトーク能力ならオープンできるかもしれない。彼がギャルに強いことは過去の経験が証明していた。

「SHINGO、あの子たちはいける?」声をかけたが、SHINGOは反応しなかった。「SHINGO?亅

「あ、はい!」

 我に返ったようにSHINGOは振り返った。

「大丈夫?さっきから声をかけてないよ」

「そ、そうですね。ここ、そういうところですもんね」

 いつものノリのよさはなかった。場に飲まれているとmenopenは感じた。

「一回でもいいから話せば勢いがつくよ」

「はい……いきますよ……いきます……」

 言葉とは裏腹に、SHINGOは、その複数のギャルたちを見つめただけだった。本来の彼なら、この会話の流れなら平気でノッてくるフットワークの軽さがあった。明らかに彼の本来のテンションではない。今夜はダメかもしれない、と思った。残念だが、ここから先はひとりで戦わなければならない。

 そうして、いよいよ盛り上がるなか、SHINGOとはぐれた。2時を過ぎるころになると、いよいよ男と話していない、女の子はいなくなり、少しずつmenopenは焦り始めた。バーに寄り、ロングアイランドアイスティーを2杯飲むと、荒いながらも勢いはついた。焦りから、すでに和んでいる男女のグループに割って入り、むりやり空気を奪うようなトークに失敗しては、逆に雰囲気を壊して、男女を解散させた。その度、なにをやっているんだ、と悔やんだ。

 

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 3時前だった。ここにきて、一度も連れ出し案件を確保していない。ネットで見た記憶が確かならば、4時までにはある程度、見込みがなければ、ただ帰るだけになってしまう。今回の自分のエンジンのかかりにくさを、まだ終わってもない試合の反省の一端を頭で浮かべていた。人から押し出されるように、またmenopenはバーカウンターに戻った。酒を頼もうと、混雑のなかで片手を挙げた瞬間、隣の女の子の肩に当たった。

「あいた」

「あ、すみません」見た。A-。「でも、キミの背が高すぎるからいけないんだよ」

 顔を見た瞬間、ネグを放っていた。長身のスト高。

「え~なに言いだしてるの。この人?」

 笑いながら隣の子に話しかける。こっちも、なかなかだった。

「え? なに、ひとりなの?」

「はぐれちゃってさ。相手してよ」

 あっという間に和むことができた。ふたりとも化粧品販売をしているという25歳だった。特に「なかなか」と評した子(以降、仲子とする)の食いつきが高かった。ここにきて、ようやく案件が確保できそうなことに内心、安堵した。そして話していくうち、menopenの友達に会いたいという流れになった。LINEでSHINGOにメッセージを飛ばす。既読にもならない。3人で探しに行くことになった。

 探しに行く際、仲子の手を、はぐれないようにと引っ張り、そのまま手つなぎに変えた。手をつないでいる間も、仲子の指と指の間に自分の指をゆっくりとこすらせる等の小ネタを数種類、駆使することをmenopenは忘れなかった。背の低い仲子は次第に、menopenの腕に、自分の腕をくっつけ始めた。狭い場所でもないのにも関わらず。そして、A-はいつの間にかいなくなった。はぐれたのだった。

「どうしたの?」

「疲れた。ちょっと休みたいなあって」

「じゃあ座る?」

 頷いた。我々はソファーに座って、休みがてら話をした。恋愛経験のルーティーン。こんなものをいちいち挟まなくても、もうIOIはすっかり取れている気がしたが、やらないと、どうにも気がすまなかった。menopenの普段の準即プロセス。フェイズシフト。そしてキス。あっさり決まった。次は連れ出しだ。だが荷物を預けているロッカーを、SHINGOと共用していた。いずれにせよ彼を探さなければいけなかった。

 しばらくして、SHINGOは見つかった。一番下のフロアで、何をするでもなく、周囲の踊っている様子を見続けていた。少し話した後、menopenは出る旨を伝えると、SHINGOも頷いた。

「俺も帰ろうと思います。今日、仕事だから少し寝ないと」

 時計は4時をすっかり過ぎていた。SHINGOは、タクシーに乗って渋谷に行くと言って別れた。menopenは、彼女を連れ出そうとした。しかし彼女は言った。

「(A-)ちゃんとロッカーが一緒で、あの子がカギを持っているの」

 今度はクラブ内で、A-を探すことになった。仲子と手分けしたが、menopenがあっさり見つけた。彼女はソファーで、知らない男性とディープキスをしていた。事情を話すと、彼女は男と舌をからめながら、自分のカバンに手を突っ込んだ。そして、カギを見つけるや否や、男を突き放して、急に立ちあがって言った。

「仲子ちゃん、帰るんでしよ?だったら私も帰る」

 

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 うかつなことにA-は、仲子と一緒に帰ると言いだした。そして実際、その通りに、我々3人はmuseを出た。SHINGOはもういない。朝方、六本木駅までの帰り道、menopenは切り離しのノウハウを持ち合わせていなかった。うまい言い訳を思いつくこともできず「送っていくよ」としか言えなかった。

 駅に行くまでの途中、A-がトイレに立ち寄った隙を狙って、仲子を連れ出そうと試みたが、上手くいかなかった。いたずらに時間が過ぎていった。いつしかmenopenは彼女たちと同じ駅のホームに降りていた。

「あれ?こっち方面なの?」

 A-が言った。

「送っていくって言ったじゃん」

 こうなったら、A-と仲子が離れるまで食らいつくしかなかった。

「ふーん。よっぽど仲子ちゃん気に入ったんだね。なんかお邪魔だったかな」

 A-の、その言葉は、後の行動とリンクした。電車のなかに入ると「あたし眠いから」と言って、いちはやくシルバーシートの空席を見つけ、寝てしまった。車内の空いている座席はまばらで、menopenと仲子は、A-とは少し離れた場所に座ることになった。車内でmenopenと仲子は充分に和んだ。

 電車を乗り継ぎ、のべ1時間以上、揺られていた。2つの不運があった。ひとつは六本木から東京に移動し、挙句の果てに、京葉線で千葉の片田舎まで行くことになった。聞けば仲子の職場も松戸だという。A-が秋葉原なので、たまたま遊びに来ただけだと言っていた。さらに、もうひとつは仲子とA-は高校時代からの友人で、隣駅しか離れていなかった。

 こうなれば負けるわけにはいかなかった。たったひとつの駅の差で、ふたりきりになり、降りるや否や、仲子に朝のホームでギラ。

「ちょっと~、急になに?」

 笑いながら仲子は抵抗した。

「僕の家、○○なんだ。ここからだと2時間はかかると思う」

「大変だね。送ってくれてありがとう」

「うん。このままだと帰りは絶対、寝過ぎて、電車を乗り過ごしちゃう。だから、ごめん。ちょっとでいいから仲子の家で仮眠させて」

「えー」そう言いながらイヤそうではなかった。「本当に寝るだけでしょうね?」

「ん~」考えるふりをしながら手を絡める。「大丈夫だよ。仲子が『僕に寝てほしいだけじゃない』ってことは、もう知ってるからさ亅

 拒否られても冗談でも済ませられる、上から目線のチャラさをmenopenは好んだ。

 仲子は笑いながら「ヘンタイ」と言う。「ヘンタイ」繰り返す。

 

 そして「うちには何もないから、せめてお茶ぐらいは買っていって」と付け足した。

 

【結果】

 ・番ゲ

  4件(内訳、事務1、公務員1、販売員2)

 ・即

  1即(menopen)

  販売員

【今回の反省】

 ・ウィングとロッカーを共用すべきではなかった。連れ出しにまごついた。

 ・ギャルへの特攻にビビった。今後は失敗を恐れず経験を積む。

 ・女性の友達同士の切り離しのテクニックを学ぶ必要がある。

  ストでは、ひとりの女性しか相手にしていないから、クラナンで初めて気づいた。

【総論】

 初クラナンではあったが、なんとか結果を出すことができた。ストとは異なり、目の前に若い女性が多く存在するので声かけは容易だが、クラブ独自のケースアクションを覚えておく必要性を感じた。また、やはり信頼できるウィングを見つけ、呼吸を大事にしていきたい。

 僥倖だったのは、男性の戦闘力は想像していたほど高くはなかったこと。少なくとも外見だけなら、menopenも充分に戦える。あとは覚悟とテクニックの鍛錬だけだ。

 

 そして、この次の夜、museは警察に摘発された。

 museの最後の平和な夜、menopenは六本木の女神から祝福を受けたことを知った。

 

おわりに

 今回のエントリーは、asapenさんの「7日間連続クラブナンパノック」の構成をオマージュしています。けれども、たとえオマージュと筆者が主張したところで「愛が伝わらなければ、単なる愉快犯」という現実は理解しているので、そのような展開と判明次第、当記事を消す意志が当方にはございます。

【7日間連続】六本木のクラブナンパ連続ノックに挑戦してみる | 六本木でナンパしながら起業する

 情熱。クラブナンパの名作だと思う。

 

※ 11/01 追記

 御本人によりTweetをいただきました。ありがとうございます。